オフバランス化とは?IT資産管理におけるメリットとポイントを解説!

企業の経営では、コストを抑えつつ、必要最低限の資産で効率的な事業を行い、企業の価値を高めることが重要です。そこでポイントとなるのが、資産を所有せずに利用することで、経費として標準化するオフバランス化です。本記事では、このオフバランス化の中でも昨今求められるIT資産についてご紹介します。
お役立ち資料
法人PCリプレイスの最適な時期と調達手段とは?
法人PCリプレイスの
最適な時期と調達手段とは?
資料ダウンロード

オフバランスとは

オフバランスとは、企業が決算の際に作成する財務諸表の1つ、「貸借対照表(バランスシート)」に資産や負債などが計上されないという意味です。反対に、貸借対照表に計上することをオンバランスと言います。また、貸借対照表とは資産と負債のバランスによって決算日時点の経営状況を表す書類のことを言います。

企業経営では、資産を取得するためのコストが発生します。しかし、ただ単にコストをかければ良いというわけではなく、できる限りコストを抑えつつ必要最低限の資産を用いて企業の価値を高めることが必要です。

そこで、企業価値を高める方法の一つとして、貸借対照表に記載されない契約の活用があります。主な例としてはオペレーティングリースやレンタル、クラウド契約などが挙げられます。

オフバランス化することの2つのメリット

オフバランス化によって得られるメリットは主に2つあります。

メリット①:資産所有リスクの回避

1つ目のメリットは、固定資産の保有によるリスク回避です。
企業にとっての資産とは、外部から評価される指標になりますが、その分負債のリスクが伴います。また、保有している資産には価格変動や減価償却によって価値が低下する、災害によって滅失するというリスクもあります。

そのため、資産として保有せず、必要なものを必要な期間導入できるレンタルやクラウドサービスという形態を採用してオフバランス化することが、これらのリスクを回避するためには効果的です。

メリット②:ROA(総資本利益率)の改善

2つ目のメリットは、ROA(総資本利益率)の改善です。ROA(総資本利益率)とは、企業が保有する現金や不動産などの資産に対してどれほどの利益を出しているのかを示す数値のことです。
この数値が高ければ高いほど効果的な経営ができているということであり、企業の価値が高いと言えます

例えば、総資産が500万円のA社と総資産が800万円のB社があるとします。このとき、どちらの企業も300万円を生み出した場合、
A社のROAは「300万円(当期純利益)÷500万円(総資産)×100=60%」
B社のROAは「300万円(当期純利益)÷800万円(総資産)×100=37.5%」

となり、A社の方が効率的な経営ができているということになります。

ROA値を高くするには、純資産を減らすことが重要であり、オフバランス化することで実現可能です。資産として計上するものが少なくなることで、実質的な純資産を減らすことができます。

また、賃借対照表(バランスシート)に記載される項目が少なくなることでスリム化され、一目で状況を把握でき、対外的な評価向上にもつながります

オフバランス化することのデメリット

オフバランス化は適切に実施をしなければ、企業が不利益を被ることもあります。

デメリット①:トータルコストが増加する可能性がある

オフバランス化を実施する際は、費用対効果を十分に検証しなければトータルコストが割高になる可能性があります。
例えば、新しいクラウドサービスを利用してオフバランス化をする場合、クラウドサービスの利用には月額または年額の費用がかかるため、長期的には追加のコストが発生する可能性があります。

デメリット②:粉飾決算のために悪用されることがある

オフバランス化は、稀に粉飾決算の手段として悪用されることがあります。オンバランス化しなければならない資産や負債を貸借対照表に計上せず、企業の実態を実際よりもよく見せるという手法です。これにより、投資家や債権者は実際の企業の財務状況を正確に把握することができず、粉飾決算であることが表に出ると企業は財務情報に対する信頼性を失います。

次章では、オフバランス化を行うべき「IT資産」についてご紹介していきます。

求められるIT資産のオフバランス化。実現するためには?

IT資産のオフバランス化が求められる理由

昨今、ITの進歩は更に加速している中で、IT設備の陳腐化も激しくなっており、その更新サイクルは短縮傾向にあります。業務のデジタル化やDX推進に伴い、効果的なIT投資を行う必要性も高くなってきています。

また、めまぐるしく変化する市場やビジネス環境に迅速に対応するため、状況に応じて必要なリソースをスケーリングすることができる柔軟性も求められています。

このような状況下では、IT資産を保有せずにコストを標準化し、運用を効率化することで本来行うべきIT投資に資金を集中させることが求められています

そこで必要となるのがIT資産のオフバランス化です。

IT資産をオフバランス化する方法

一般的なオフバランスの手法には「不動産売却」「リースバック」などがありますが、IT資産をオフバランスするための具体的な手法としては「IT機器レンタル」や業務システムの「クラウドサービス利用」が挙げられます。

PC等のIT機器を購入・リースからレンタルへ切り替えることや、業務システムなどをクラウド化することで、「設備投資」ではなく「必要経費」として捉えオフバランス化が可能です。毎月一定の利用料で最新のサービスを利用できるためITコストを標準化し、サーバー保有による管理やメンテナンス、ソフトウェアアップデート・バージョンアップの負担を削減して運用の効率化ができます。

また、業務のアウトソーシングもオフバランス化の手段です。専門知識や設備が必要な業務を外部の専門家にアウトソーシングすることで、結果的に人件費を削減することができます。

次章では、多くの企業が導入しており、ビジネスを行う上では欠かせないPCの調達から導入・運用・保守・撤去・廃棄までの運用をオフバランス化する際のポイントについてご紹介します。

PC運用におけるオフバランス化の2つのポイント

ポイント①:PCを「所有」から「利用」へ

1つ目のポイントが、従来のPCを「所有」することから「利用」する形態へ変更することです。PCの調達方法を変更してPCを利用する形にすることで、オフバランス化することができ、初期投資の標準化が可能となります。

PCの調達方法として、主に「購入」「リース」「レンタル」の3つがあり、これらは会計における計上方法が異なります。

従来の方法であるPCの「購入」はオンバランスであり、初期導入費も大きくかかります。

「リース」は、リース会計基準が改正され2019年以降からは原則としてすべてのリースがオンバランスとなっています。一方で、リース期間が12カ月以内の「短期リース取引」や少額IASB(国際会計基準審議会)の基準によって5,000米ドル(1ドル140円換算の場合は700,000円以下と設定)のリース取引においては、オフバランス処理が可能です。

▼関連記事
【2026年改正】新リース会計基準とは?変更点とオフバランス処理できる項目を解説

「レンタル」は、オフバランスとして経費処理できます。費用はレンタル期間に応じた費用になるため、初期投資を大幅に抑えながら標準化することが可能です。

法人PCのリース・レンタルのメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

ポイント②:LCM(ライフサイクルマネジメント)サービスの活用

調達方法を変え、PCの初期投資を標準化できたとしても、その分の運用費が随時発生していては、月によって大きな経費の変動が起きてしまいます。
この変動に対応するためには、PCのLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを活用することが重要です。PCの「調達」から「導入」「運用」「保守」「撤去・廃棄」までのライフサイクルで必要となる費用が標準化されているため、運用における大幅な経費変動の抑制が可能となります。

PCLCMに関しては以下の記事で紹介しています。

IT資産のオフバランス化を実現する「Wave PC Mate」とは?

ご紹介したように、IT資産のオフバランス化で経費変動を標準化し、コスト削減を可能とするのがNTTデータ ウェーブが提供する「Wave PC Mate」です。

Wave PC Mateとは、ハードウェアの調達から導入、運用、保守、撤去・廃棄までのPCライフサイクル全体を通した「トータルアウトソーシングサービス」です。
最適なPCの提供や固有の環境に合わせたセットアップ、ヘルプデスク、セキュリティ対応、資産運用などをすべて合わせて毎月定額のサービス料として提供しているため、費用の標準化とオフバランス処理が可能です。

PCの運用負荷やランニングコストを低減するには?

オフバランス処理のみならず、会社の資産を管理するうえで欠かせないのが「社員の生産性」です。特に、情シスの生産性を向上させるためには、工数の逼迫状況を打破する必要があります。主な方法については以下資料をご覧ください。

以下の資料では、購入・リース・レンタル、それぞれの法人PCの調達手段の特長について紹介しています。ぜひご参考にしてください。

お役立ち資料
法人PCリプレイスの最適な時期と調達手段とは?
法人PCリプレイスの
最適な時期と調達手段とは?
資料ダウンロード
このコラムを書いたライター
Wave PC Mate 運営事務局
Wave PC Mate 運営事務局
Wave PC Mateは、NTTデータ ウェーブが提供するハードウェアの調達から導入、運用管理、撤去・廃棄までのPCライフサイクルマネジメントのトータルアウトソーシングサービスです。本サイトでは、法人企業のPC運用管理業務の課題解決に役立つ様々な情報をお届けします。