キッティングとは?作業内容や注意点、業務委託のメリットを解説!

オフィスにて新たなPCやモバイル端末を導入する際、各種アプリケーションの設定等、利用者へ払い出す前のセットアップを行うことを「キッティング」と呼びます。キッティングはデジタルデバイスが身近な現代において重要な作業ですが、自社で行う場合にはスケジュール管理やオペレーションミスによるトラブルの発生など注意すべき点があります。
本記事では、キッティング作業内容やセットアップとの違い、注意点、さらにキッティングを外部に業務委託するメリットなどをご紹介します。
お役立ち資料
面倒かつ負荷がかかる「キッティング」から解放!
面倒かつ負荷がかかる
「キッティング」から解放!
資料ダウンロード

キッティングとは?

キッティングとは、PCやタブレット端末、スマホなどのITデバイスを導入する際に、各種アプリケーション設定やセットアップを行ってユーザーが使用できる状態にすることです。特に、企業で新たに社員を迎え入れるときや、オフィスの移転・新設、機器の更新などのタイミングで行われるものを指します。
なお、キッティング(kitting)は英語で「装備」や「配備」といった意味です。

キッティングの作業内容とセットアップとの違い

キッティングとよく似た概念に「セットアップ」があり、両者はしばしば混同されることがありますが、実際には意味が異なります。
セットアップとは、基本的にはOSをコンピュータに導入・設定し使用可能な状態にすることを指します。ソフトウェアのセットアップについては「インストール」とほぼ同義です。一方でキッティングは、セットアップ以外にも主に以下の作業内容が含まれます。

・PCの開梱/検品
PCを開梱し、PCの外観に損傷がないか確認します。また、ハードウェアの各部品(マザーボード、CPU、モニター、キーボード、タッチパッド等)の状態もチェックします。

・通電確認/周辺機器の接続
PCの電源を入れ、正常に起動するか確認するとともに、モニター、マウス、キーボードなどの周辺機器を接続し、それらも正常に機能するか確認します。USBポートやLANポートなどの接続に問題がないかについてもチェックします。

・BIOS/UEFIのセットアップ
各デバイスの管理・制御を行うBIOS(Basic Input Output System)/UEFI(Unified Extensible Firmware Interface )のセットアップを行います。基本的には初期設定時に最適化されていますが、必要に応じて設定変更を行います。

・動作確認
インストールしたソフトウェアや設定した項目が正常に動作するか確認します。

・管理台帳への記帳
キッティングが完了したPCに管理番号を付与し、台帳に記載して一覧で管理します。

つまり、キッティングはIT機器を使えるようにするためのあらゆる作業を包括する概念であり、セットアップはキッティングを構成する要素の1つであるということです。

以下の記事では、法人PCの導入時に必要な作業やセキュリティ対策について解説しています。あわせてご覧ください。
【法人向け】パソコン買い換え時にやること、注意点とは
パソコン購入時に必要なウイルス対策とは?セキュリティソフトの必要性と選び方

キッティングの重要性

PCをはじめとするデジタルデバイスの利用が当たり前のものとなった現在、キッティングは生産性向上やセキュリティ対策などの観点から非常に重要です。

キッティングが正常に行われていない場合、業務に必要なソフトウェアがインストールされていない、デバイス設定が統一されていないなどの問題が生じ、業務効率が低下する可能性があります。
また、設定の変更やアップデートが適切に行われず、外部からの脅威に対するリスクが拡大するおそれもあります。
こうしたことから、現代の企業にとってキッティングは重要なプロセスであるといえます。

キッティングの作業方法

キッティングは1台ずつ手作業で行う方法と、マスターPCを作成したうえでマスターイメージを作成し、それを他のPCに適用する「クローニング」という方法があります。

手作業の場合、手元にPCがあればすぐにキッティングができ、台数が少なければ短期間で完了できるメリットがあります。一方で、台数が増えるほど時間と人件費がかかり、キッティングの質にばらつきが生じやすい点がデメリットです。

クローニングの場合、大量のPCを効率的にキッティングでき、品質を均一化しやすく、さらにハードウェアが故障してもマスターイメージで迅速に代替機を準備できる利点があります。ただし、マスターPCの作成に時間がかかり、専門的な知識や技術が求められる点には注意が必要です。

マスターPCおよびマスターイメージの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

なお、マスターイメージを作成せずにWindows Autopilotをはじめとするツールを活用する方法もあります。
Windows Autopilotは、Microsoftが提供するクラウドベースのデバイス展開ツールです。
情報システム担当者が個々のデバイスに対して手動で操作する必要がなく、各種設定やアプリケーションのインストール、セキュリティポリシーの適用などをクラウド上で行えます。ただし、Windows OSには適用しやすい一方、MacやChromebookのセットアップは実行できません。

PCの台数が少ない場合は手作業で対応可能ですが、大量のPCをキッティングする場合はクローニングが効率的です。

キッティングの手順

前述のように、キッティングはIT機器を利用できるようになるまでのあらゆる作業を含みますが、ここでは一例として、PCを手作業でキッティングする場合の大まかな作業の流れをご紹介します。

① PCの開梱と組立、通電の確認
② モニターなど周辺機器との接続
③ BIOS/UEFIのセットアップ
④ OSのインストールと初期設定(環境設定)
⑤ ネットワーク設定
⑥ 業務に必要なアプリやセキュリティソフトのインストールと設定
⑦ Windows Updateやセキュリティソフト等の最新化
⑧ OSやアプリケーションなどPC全体の動作確認
⑨ 管理台帳(またはIT資産管理ツール)への記載・登録管理
⑩ 管理用ラベルの作成・貼付

このように、キッティングには複数の工程が必要ですが、マスターPCを作成しておけば、④~⑦の作業はクローニングによって自動化することが可能です。しかし、クローニング後にPCごとの最終調整が必要になることが少なくありません。

キッティングを自社で行う際の注意点

キッティングにおける一連の作業を自社で行う場合は、特に以下の点に注意する必要があります。

注意点1:プロジェクト管理

情報システム部門は、日常の運用業務を行いながらキッティングを行うことが少なくありません。その場合、作業の絶対量が多くなり、キッティングを実施する情シス担当者の負担が大きくなりやすいです。社員数が少なければキッティングする機器の数も少なく、負担は小さいかもしれませんが、規模が大きくなるほど新入社員の数も多くなり、オフィスの移転や機器の買い替えなどに伴うキッティングも大規模になります。

情シス担当者の負担を最小限にとどめ、かつ迅速にキッティングを行うためには、自社のリソースとキッティングに伴う業務量を精査したうえで適切なスケジュールを組み、プロジェクトの管理を徹底することが重要です。

注意点2:事前検証と緊急対応体制の整備

キッティングはそれほど頻繁に行う作業ではないため、担当者が作業に慣れていないケースがよくあります。社内に統一のマニュアルが整備されていない場合は特に、担当者がキッティングの作業に戸惑ったり、属人的に行ったりするため、人為的ミスが発生しがちです。

また、前述のように担当者に負荷がかかり多忙になる点も、オペレーション上のミスを誘発する要因となります。その結果、PC環境が不統一となることで運用トラブルが発生し、その対応によって担当者の負担がさらに増す、という悪循環を誘発しかねません。

こうした課題を解消するためには、オペレーションミスによるトラブルの発生を事前に想定し、トラブルが発生した際の緊急対応体制を整備しておく必要があります。

注意点3:セキュリティ対策

キッティングを自社で行う際には、OSとソフトウェアの最新パッチとアップデートを適用し、既知の脆弱性の修正を徹底する必要があります。ファイアウォールやIDS/IPS(侵入検知・防御システム)を設定し、不審なアクセスをブロックすることや、各PCにアンチウイルスソフトをインストールし、リアルタイム保護と定期的なスキャンを設定することも重要です。

こうした対策をとることで、情報漏洩やウイルス感染のリスクを最小限に抑えることができます。

キッティングを効率化するポイント

自社内でのキッティングを効率化するためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。

適切な人員配置

効率的なキッティング作業には、適切な人員配置が欠かせません。各スタッフのスキルや経験を踏まえ、適切な作業を割り振ることで作業効率が向上します。また、チーム内でのコミュニケーションを活性化し、作業の進捗状況の共有がしやすい環境を整えることで、全体の効率を高めることができます。

作業手順書の整備

標準化された作業手順書を作成し、その内容に沿って作業を進めることで、作業のムダやミスが減り、作業速度を向上させることが可能です。新しいスタッフの研修や教育もスムーズに進められるため、労力の削減にもつながります。
手順書を作成する際には、作業ごとにチェックすべきポイントを抑えておくことが重要です。

自動化ツールの活用

専用のツールを使用してキッティングの工程を自動化することで、簡単かつ短時間で作業を終わらせられます。手作業で生じがちな初期設定時の手間や作業漏れといった人的ミスをなくせるため、効率的に作業を完了させることが可能です。

外部委託の活用

上記のようなポイントを押さえたとしても、自社に人的リソースやノウハウが不足していると、効率的にキッティングを行うことが難しい場合があります。そうしたときには、後述のように専門のノウハウを持つ外部の業者に委託することが効果的です。
特に大量のパソコンをキッティングする場合には、外部業者にアウトソーシングすることが有効な手段となります。

キッティングと周辺業務の外部委託による3つのメリット

近年はPCのスペック向上による高機能化・多機能化が進み、キッティングを行う上で専門知識が必要となるケースも増えています。このことから、キッティングの業務委託が主流になりつつあります。キッティングを専門に請け負う企業も登場するなど、企業にとって選択肢が増えています。

そこで以下では、キッティングを自社で行う場合と比較した場合の業務委託の主なメリットを3つご紹介します。

メリット1:キッティング作業やPC選定にかかる情シス担当者の負担軽減

まず挙げられるのは、キッティングの外注により情シス部門の担当者の負担が軽減される点です。キッティングは通常業務とは異なり、前述の新入社員入社時等のイベント対応であるため、余計な時間がとられる、PCの選定に手間がかかるなどの負担が軽減されることで本来取り組むべき業務に集中できるようになります。

メリット2:環境統一による運用トラブルの軽減

前章で解説した通り、それほど頻繁に行われないキッティング業務は社内に統一のマニュアルが整備されていない場合が多いです。このような場合には、キッティング作業が属人化したり、担当者のオペレーションスキルに依存したりするため環境が不統一となる問題があります。

一方、キッティングをプロに任せることで、属人化は排除でき、環境設定内容も作業前に整理するため、環境統一が図れます。したがって、環境設定違いによる運用トラブルは軽減でき、自社の業務が滞るリスクも低減可能です。

メリット3:IT資産管理の徹底

キッティング作業の他に、PC運用管理を含めた業務委託をすることで、IT資産を適正に把握できるようになります。
キッティングはPC導入時やPC故障時に実施しますが、IT資産管理はPC利用中の運用面での管理が重要となります。そのため、PC運用管理も含めて一括委託することで、PC管理情報(構成情報・契約情報・設置場所情報など)やソフトウェアライセンス情報などのIT資産を適正に管理できるようになり、キッティングに伴う情報登録/更新もタイムリーに実行可能です。

また、高度な専門知識に基づく確実なセキュリティ対策を行ってくれるため、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを最小限に抑えることができます。

以下では、キッティングをはじめ、PCの運用サポートを一括で業務委託できるソリューション「Wave PC Mate」をご紹介します。

キッティングを含むPC運用サポートをワンストップで行う「Wave PC Mate」

Wave PC Mate は、ハードウェアの調達から導入、運用管理、撤去までのPCライフサイクル全体を通した「トータルアウトソーシングサービス」です。
PC導入を支援する「セットアップ/デリバリサービス」として、ソフトウェアのコンフィグレーション決定・インストール・各種設定を行い、マスタ環境を作成します。事前キッティングも実施可能で、提供PCはマスタ環境をキッティング済みの状態で出荷し、同梱物の調整や管理シール貼付などにも対応できます。
また、ヘルプデスク、セキュリティ対策、資産管理などもトータルでサポートいたします。

以下の資料では、キッティングの基本的な流れや効率化の方法について紹介しています。ぜひご参考にしてください。

お役立ち資料
面倒かつ負荷がかかる「キッティング」から解放!
面倒かつ負荷がかかる
「キッティング」から解放!
資料ダウンロード
このコラムを書いたライター
Wave PC Mate 運営事務局
Wave PC Mate 運営事務局
Wave PC Mateは、NTTデータ ウェーブが提供するハードウェアの調達から導入、運用管理、撤去・廃棄までのPCライフサイクルマネジメントのトータルアウトソーシングサービスです。本サイトでは、法人企業のPC運用管理業務の課題解決に役立つ様々な情報をお届けします。