法人PC廃棄の基本的な流れと注意すべき4つのポイント

法人が所有するPCの廃棄は、法律に則って適切に行わなければなりません。廃棄方法は、調達方法が購入か、もしくはリース・レンタルかによって異なります。本記事では、調達方法別に法人PCの廃棄方法や流れ、注意すべき点などを解説します。

調達方法によって異なる法人PCの廃棄方法

法人PCは産業廃棄物扱いとなるため、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に基づいて廃棄する必要があり、排出事業者(PCを処分する側)に処理の責任が課せられています。

法人PCは一般的なPCよりも厳重な廃棄が求められ、適切な廃棄を怠ると法令違反を犯してしまう可能性もあるため、企業の担当者は責任の範囲や注意点をよく理解したうえで廃棄しなければなりません

また、法人PCの廃棄方法は調達手段によって異なるため注意が必要です。

購入の場合:全てを自社で対応する必要がある

法人PCの廃棄は、資源有効利用促進法により、メーカーによる回収とリサイクルが義務づけられています。法人PCを購入で調達した場合、購入したメーカーに回収してもらう方法、産業廃棄物処理会社へ依頼する方法、PC処分・リサイクルサービスの業者に依頼する方法の3つがあり、それぞれに以下の特徴があります。

● メーカーに回収してもらう方法
メーカーに回収してもらう場合、再資源化処理費として、1台につき約3,000~4,000円の費用が必要です。メーカー自体が消滅していたり、PCを生産していなかったりするなどの理由で回収できない場合は、一般社団法人PC3R推進協会に回収・リサイクルの依頼を行います。

● 産業廃棄物処理会社へ依頼する方法
業者にもよりますが、一般にメーカーに比べ安価に処分できるケースが多く、複数のメーカーのPCを一斉に処分できる点がメリットです。注意点として、「産業廃棄物処分委託契約書」や「産業廃棄物収集運搬契約書」など書面での対応を行う必要があります。

● PC処分・リサイクルサービスの業者に依頼する方
メーカーや産業廃棄物処理会社に依頼する場合は、自社でデータを削除する必要がありますが、PC処分・リサイクルサービスの専門業者であれば、PCの回収からデータの削除まで対応してくれるケースが一般的です。また、PCのリユースや部品のリサイクルなどの事業で収益を上げているため、メーカーに比べ費用が安い点もメリットです。

レンタルやリースの場合:データ消去は自社、回収以降は提供元

レンタルやリースでPCを調達した場合、廃棄時のデータ消去は自社で行う必要があります。
データ消去後、廃棄予定のPCの回収から廃棄までの工程は、提供元であるレンタル企業やリース企業に任せることが可能です。そのため、廃棄の前段階で発生する、全社からPCを回収する作業の手配や実際の回収業務といった手間を削減できます。

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続いては、法人PCの廃棄に至るまでの一般的な流れをご紹介します。

法人PC廃棄の基本的な流れ

法人PCの廃棄は、以下のような流れで進められます。

【購入の場合】
① データを完全消去
② メーカーまたは委託先の担当窓口に連絡
③ 委託先が費用を見積りし、それを受けて処理委託契約を締結
④ 委託先の指示に従ってPCを送付・回収
⑤ 委託先がPCを再資源化施設に送り、処理
⑥ 委託先が「廃棄証明書」や「資産滅却報告書」などの証明書を送付するので、それを受理して完了

法人PC廃棄の基本的な流れ_購入のケース

 

【レンタル・リースの場合】
① データを完全消去
② レンタル・リース提供元に回収を依頼
③ レンタル・リース提供元が回収し、適切に処理

法人PC廃棄の基本的な流れ_レンタル・リースのケース

上記の流れを見ると、購入の場合にも委託先を選べば、手間をあまりかけずにPCを廃棄できるように思えますが、実際には注意しなければならない点が多くあります。

以降では、法人PC廃棄の際に注意すべきポイントをいくつか解説します。

法人PC廃棄の際に注意すべき4つのポイント

ポイント①:データの完全消去

法人PCには、顧客情報や企業の内部情報などの機密データが入っているため、データの完全消去は、調達方法に関わらず行わなければならない工程です。(PC処分・リサイクルサービスの業者に依頼する場合を除きます。)

PCのデータは、ファイルの削除やHDD・SSDの再フォーマットでは完全に消去されず、ファイル復元ツールなどを使用すると復元されてしまうリスクがあります。こうしたリスクを回避するためには、データ消去ソフトの利用や磁気破壊、専門業者への委託が有効です。

ポイント②:資産管理に関する情報の確認・更新

企業では、使用しているIT資産を管理する必要があるため、廃棄時には、廃棄する法人PCと資産台帳に記載されている情報に誤りがないかを確認し、資産台帳に記載されている情報を更新する必要があります

資産台帳の確認や更新を怠った場合、廃棄したことが台帳に反映されていないため、除却処理が行われず、棚卸時の情報整理に工数がかかったり、余計な納税義務が発生してしまったりする可能性が考えられます。

加えて、処分時には自社のPCだと推測されないよう、法人PCを管理するためのシールなどをはがす対応も必要です。

ポイント③:委託先の安全性・信頼性

廃棄のみを行ってくれる委託先を選定する際には注意が必要です。
例えば、廃棄にかかる料金が安いといったコストを重視して委託先を選んだ場合、悪質業者であるケースがあり、廃棄予定のPCから情報が漏洩するリスクや不法投棄されてしまうリスクが想定され、自社に責任が問われることもあります。

そのため、委託先に十分な処分の実績があるかを確認し、信頼できる業者であるかを慎重に比較検討することが大切です。

ポイント④:マニフェスト制度への対応

法人PCの廃棄を外部へ委託する場合には、マニフェスト制度に対応しなければなりません。

マニフェスト制度とは、産業廃棄物の処理工程が適切かを把握するための管理表(マニフェスト)を交付し、最終処分まで確認する制度です。産業廃棄物の不法投棄の防止を目的として、環境省によって制定されました。このマニフェストは、紙と電子の2種類があり、それぞれ運用方法が異なるため、企業は法令違反のないように管理する必要があります。

このように、購入によってPCを調達した場合は、上記の注意点をすべて遵守する必要があり、多くの業務工数がかかってしまいます。法律面にも関係するため、廃棄は厳重に行うことが望ましいですが、すべての作業を自社内で行うことは容易ではありません。

企業にとって負担の少ない方法としては、法人PCの提供元が廃棄業務を行ってくれるリースやレンタルなどが有力です
次章では、法人PCの調達から撤去廃棄までを行うおすすめのサービスをご紹介します。

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このコラムを書いたライター
Wave PC Mate 運営事務局
Wave PC Mate 運営事務局
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