パッチ管理とは?運用サイクルにおける課題と解決策

OSやアプリケーションソフトウェアなどは、リリース後にセキュリティ上の脆弱性が発見されることが少なくありません。そうした脆弱性を放置しているとサイバー攻撃を受けやすく、重大なセキュリティリスクを招く可能性があるため、パッチ管理を通じた適切な対策が必須です。本記事では、パッチ管理の重要性や実施する際の流れ、パッチ管理の運用サイクルにおける課題と解決策を解説します。
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パッチ管理とは

パッチ管理とは、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトウェアに対してセキュリティや機能更新を行う「パッチ適用」のプロセスのことであり、またそれを管理者が制御・監視することです。
「パッチ」とは、システムやアプリケーションのコードに対する修正プログラムや更新プログラムのことであり、バグの修正や新機能の追加、パフォーマンス向上、またはセキュリティホールの修正のために適用されます。

「パッチ」とは、もともと服の綻びを直すために使われる継ぎ当て用の布のことを指します、現在では「ソフトウェアの綻び(バグ)を修正するためのファイル」という意味で、ITの分野でも使われるようになりました。

パッチ管理と同様にセキュリティと安定性を保つために重要なWindowsのアップデートについては、以下の記事で解説しています。

パッチ管理の重要性

パッチ管理は、以下のようにセキュリティ強化やパフォーマンスの最適化、コンプライアンスといった面から非常に重要です。

・セキュリティ強化
巧妙化・複雑化するサイバー攻撃からアプリケーションやソフトウェアを守るため、ベンダーから配布されるパッチを適用して脆弱性を修正し、セキュリティリスクを軽減します。パッチ適用を怠ると、脆弱性や不具合が放置されたままになり、組織のセキュリティ体制全体に問題が生じてしまいます。

・パフォーマンスの最適化
パッチにはパフォーマンス向上のための機能改善の役割もあります。適切なパッチ管理を通じてソフトウェアを最新の状態に保つことで、アップタイムを高水準で維持でき、業務効率化やユーザビリティを高めることが可能です。

・コンプライアンス維持
多くの業界では、ITの運用に関するセキュリティ基準や規制が設けられており、これらを遵守するために定期的なセキュリティパッチやソフトウェアアップデートの適用が求められます。こうしたコンプライアンスの基準をクリアするうえでもパッチ管理は重要です。

以下の記事では、セキュリティ維持のために重要な法人PC管理について解説していますので、あわせてご覧ください。

パッチ管理の流れ

パッチ管理は、一般的には以下の流れに沿って実施します。

① IT資産の管理・把握

まずは、組織内で利用しているサーバーやPC、スマートフォン、ネットワーク機器等のIT資産を正確に把握し、一元的に管理します。IT資産の種類、バージョン、設置場所などの情報を常に最新の状態に保つことが必要です。
IT資産ごとのパッチのバージョンもあわせて確認することで、パッチ適用の抜け漏れを防ぐことができます。

以下の記事ではIT資産管理全般について詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

② 脆弱性情報の収集・確認

ベンダーから通知・公開される脆弱性情報の収集・確認を怠らないようにします。パッチが配布される際には、ベンダーからソフトウェアの脆弱性に関する情報もあわせて通知されるので、自社のIT資産への適用が必要か確認し、緊急性や重要度を考慮しながらパッチ適用の優先順位を決めていきます。

③ 最新のパッチの入手

パッチ適用が必要であれば、ベンダーから提供される最新のパッチを入手します。その際には、信頼できるソースからパッチを取得することが重要です。
サーバー、ネットワーク機器へ適用するときには、一時的に稼働を停止しなければならない場合もあるので、パッチ適用のスケジュールを作成して業務に大きな影響が出ないように配慮します。

④ パッチ適用

スケジュールに従い、計画的にパッチを適用します。従業員が利用しているPCやスマートフォン等のIT機器については、情シスではなく各部門の従業員が自分でパッチ適用を行うこともありますが、その際にはパッチが公開されるタイミングに合わせて通知し、適用漏れが起きないよう配慮が必要です。

パッチ適用後にはシステムの動作確認を行い、不具合が発生していないかチェックします。パッチ適用状況を継続的に監視して未適用のIT資産がないように注意しましょう。

パッチ管理の運用サイクルにおける課題

パッチ適用の運用サイクルにおける課題としては、以下の3つがあります。

パッチ適用タイミングの調整

パッチ適用が業務に与える影響を最小限に抑えるためには、適切なタイミングと手順で行うことが必要です。パッチ適用を夜間や休日などに行えば、業務への影響は小さくなります。
システムの稼働状況や運用上の制約を考慮したり、緊急度の高いものから優先的に適用したりするなど、効率的なパッチ適用の計画を立てることが重要です。しかし、次節で解説するようにリソースが限られる中でタイミングやスケジュールを調整するのが難しいという課題もあります。

リソース・工数不足

パッチ管理を適切に行うためには、組織内のあらゆるIT資産の管理状況を把握し、バージョン情報を確認する必要があるため多大な人的リソースがかかります。特に、手動でのパッチ適用作業は非常に手間がかかり、工数が膨大になる可能性があります。
また、パッチの入手やスケジュール管理、適用後のモニタリング、IT機器へのインストールなど多くの工程があり、パッチ管理全体を通じて多くのリソースと工数が必要です。

パッチの適用漏れが発生する

IT資産情報を正確に把握する仕組みがないと、パッチ適用の漏れが発生する可能性があります。しかし、対象となるIT資産の種類、バージョン、設置場所などの情報をすべて正確に把握することは容易ではありません。共用PCなど、明確な利用者が存在しない端末はパッチ適用が放置されやすい傾向があります。

社内PC管理業務のアウトソーシングで効率的なパッチ管理を実現

パッチ管理はセキュリティやパフォーマンスの維持・向上のために非常に重要ですが、自社だけで行おうとするとリソース不足やパッチ適用の抜け漏れなど、前章でご紹介したような課題に直面することがよくあります。そこで、社内PC管理業務をトータルでアウトソーシングすることが選択肢となります。

Wave PC Mateは、PCの選定/調達から導入、運用、処分まで、セキュリティ対策を含めたワンストップでのPC管理をご提案するサービスです。セキュリティ対策環境の提供およびPDCAサイクルに沿った運用支援を行っており、ウイルス対策、パッチ適用等をユーザが意識することなく、安心して利用できるPC環境をご提供します。

Wave PC Mateでできるセキュリティ対策強化については、こちらのページをご覧ください。

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また、以下の資料では法人PC運用の外部委託先を選定する際のポイントを解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

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Wave PC Mate 運営事務局
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