Windows Autopilotとは?Intuneとの関係性や、OS設定方法・展開方法などを解説

Windows 10のサポートが2025年10月に終了し、Windows 11への入れ替えや新規セットアップの機会が増えています。
こうした中で注目されているのが、初期設定や展開を自動化できる「Windows Autopilot」です。
従来のように情報システム部門が手作業でキッティングを行う必要がなくなり、ユーザーはPCの電源を入れてインターネットに接続するだけで利用を開始できます。

本記事では、Windows Autopilotの仕組みやIntuneとの関係性、導入メリット、利用時の注意点などをわかりやすく解説します。
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Windows Autopilotとは?PCキッティングを自動化する仕組み

Windows Autopilotは、Microsoft IntuneとMicrosoft Entra ID(旧称 Azure Active Directory)を基盤とした、PCのキッティングを自動化する仕組みです。
従来のマスターイメージを作成して各PCに展開する方法とは異なり、デバイス固有のハードウェアIDをあらかじめクラウドに登録しておくことで、ユーザーが初回起動時に自動的に設定が適用されます。
Windows AutopilotがPCの登録・初期構成を自動化する一方で、Intuneはその後のアプリ配布やセキュリティポリシー適用など、運用管理全般を担う仕組みです。

この2つを組み合わせることで、情報システム部門は物理的に端末を操作することなく、最新状態のPCを安全にユーザーへ提供できるようになります。

Windows AutopilotとIntuneの違い

Windows AutopilotとIntuneは、どちらもMicrosoftが提供するデバイス管理ソリューションですが、制御する範囲と目的が異なります。

 ・Windows AutopilotPCの初期セットアップ(キッティング)を自動化する仕組み
新品デバイスの登録、初期設定、プロファイル適用など、展開前後の構成を担当。

・Intune:OS設定後の端末を継続的に管理するためのMDM(モバイルデバイス管理)サービス  アプリ配布、セキュリティポリシー適用、リモートワイプ、利用状況監視など、運用段階を担当。

つまり、Autopilotは「導入段階の自動化」Intuneは「運用段階の統合管理」を担う関係にあります。両者を組み合わせることで、デバイスのライフサイクル全体をシームレスに管理できるのが最大の強みです。

Windows AutopilotとIntuneで実現できること

Windows Autopilotを導入することで、Windowsデバイス管理における多くのプロセスを自動化・効率化できます。具体的に見ていきましょう。

Windowsデバイスの初期設定を自動化する

Windows Autopilotを活用すると、Windowsデバイスの初期設定プロセスを大幅に自動化できます。
ユーザーが新品のPCを開封し、インターネットに接続してサインインするだけで、組織で定められた設定が自動的に適用されます
言語設定やキーボードレイアウトの選択といった煩雑な操作をスキップし、ユーザーが操作する項目を最小限に抑えることが可能です。

また、「自己展開モード」を利用すれば、ユーザーの介入なしにデバイスのセットアップを完了させることもできます。これにより、IT管理者が一台ずつ手作業で設定を行う必要がなくなり、ユーザーは場所を問わず迅速にPCを使い始められます

アプリやポリシーをクラウド経由で一括適用する

Windows AutopilotはMicrosoft Intuneと連携することで、業務に必要なアプリケーションやセキュリティポリシー、各種configuration(構成)をクラウド経由で自動的に適用します。
管理者はIntuneの管理画面から、部署や役職ごとなどのデバイスグループに対して、異なるアプリケーションや設定プロファイルを割り当てられます。

これにより、全社員のデバイスに共通のセキュリティ設定を強制しつつ、特定の部署にのみ専門的なアプリを配布するといった柔軟な運用が可能です。
手動でのインストール作業や設定漏れを防ぎ、組織全体のデバイス環境とセキュリティレベルを統一的に管理できます。

PCのリセットや再利用を簡単に行う

Windows Autopilotの「Autopilot Reset」機能を利用すると、PCのリセットや再利用のプロセスを簡素化できます。
この機能は、デバイス上の個人用ファイルやユーザー固有の設定を削除しつつ、IT管理者による構成や登録情報は保持したまま、業務利用可能な状態に戻します

例えば、退職した従業員が使用していたPCを新しい従業員に割り当てる際、管理者は遠隔操作でデバイスの初期化を実行できます。PCを回収して情報システム部門で再キッティングする手間が不要になるため、デバイスの再利用サイクルが迅速化し、管理工数の大幅な削減が実現します。
また、トラブル発生時の初期化対応も容易になります。

Windows AutopilotとIntuneを導入する3つのメリット

Intune Autopilotを導入することには、企業のIT管理において大きなメリットがあります。

情報システム部門のキッティング工数を大幅に削減できる

Windows AutopilotとIntuneを導入する最大のメリットは、情報システム部門が行うキッティング作業の工数を劇的に削減できる点です。従来は、マスターイメージの作成・更新や、一台ずつの手作業による設定に多くの時間と労力を要していましたが、これらの作業が不要になり、クラウド上で定義した設定が自動で適用されます

特に、2025年10月のWindows 10サポート終了に伴う大規模なPCリプレースなど、大量のデバイスを短期間で展開する必要がある場合にその効果は絶大です。
これにより、担当者は定型的な作業から解放され、より戦略的なIT業務にリソースを集中させることが可能になります。

 キッティング作業について詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。

 

テレワーク環境でもPCのセットアップが可能になる

テレワークやハイブリッドワークといった現代の働き方に最適化されたデバイス管理も実現できます。
新しいPCを従業員の自宅へ直接配送し、従業員本人が電源を入れてインターネットに接続するだけで、会社のセキュリティポリシーや必要なアプリケーションが適用された状態でセットアップが完了します。
従来のように、一度PCをオフィスに集約してキッティング作業を行う必要がありません。

これにより、従業員の入社手続きやPCの故障交換が迅速かつスムーズに進み、場所にとらわれない効率的なIT運用が可能になります。

常に最新のセキュリティポリシーを維持できる

Windows Autopilotは、Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)および Intune との連携により、高度なセキュリティ管理を実現します。
デバイスが初めてインターネットに接続し、ユーザーが EntraID アカウントでサインインすると、即座に Intune に登録され、あらかじめ設定されたセキュリティポリシーが自動的に適用されます。
BitLocker による暗号化の強制、パスワードポリシーの適用、多要素認証の設定などが漏れなく実施されるため、手動設定によるミスや抜けを防ぎます

これにより、組織内のすべてのデバイスで常に最新かつ均一なセキュリティレベルを維持し、コンプライアンスを強化できます

Windows Autopilotの始め方

Windows Autopilotの導入を開始するには、まず必要なライセンスと対象OSの要件を確認することが第一歩です。要件を満たしていることが確認できたら、次に具体的な設定手順に進みます。

導入に必要なライセンスとOSの要件を確認する

Windows Autopilotを導入する前に、必要なライセンスとOSの要件を満たしているかを確認することが不可欠です。
ライセンスについては、Microsoft Intuneの利用権と、Microsoft Entra ID Premium P1 以上の機能を含むプランが必要です。
具体的には、Microsoft 365 Business Premium、Microsoft 365 Enterprise E3/E5、Enterprise Mobility + Security(EMS) E3/E5などが該当します。

OSの要件としては、サポートされているバージョンのWindows Pro、Enterprise、またはEducationエディションが必要です。これらの前提条件をクリアすることで、Autopilotの機能を利用するための準備が整います。

デバイス情報の登録からプロファイル作成までの手順

Windows Autopilotの具体的な設定手順は、まず展開対象となるデバイスのハードウェア情報を取得し、Intuneへ登録することから始まります。
このハードウェア情報は「ハードウェアハッシュ」と呼ばれ、PowerShellスクリプトなどを利用して収集し、CSVファイル形式でアップロードするのが一般的です。
デバイス登録が完了したら、次に展開プロファイルを作成します

このプロファイルでは、初期設定画面(OOBE)で表示する項目のカスタマイズや、ユーザーアカウントの種類(標準または管理者)などを設定します。
最後に、作成したプロファイルを登録済みのデバイスまたはデバイスグループに割り当てることで、自動展開の準備が完了します。

Windows Autopilotを利用する際の注意点

Windows Autopilotを円滑に運用するためには、いくつかの注意点を事前に把握しておくことが重要です。
クラウドベースのサービスであるため、安定したインターネット接続環境が不可欠であることや、PCにプリインストールされている不要なアプリケーションが展開の妨げになる可能性への配慮が求められます。

安定したインターネット接続環境が必要になる

Windows Autopilotはクラウドサービスを介して設定やアプリケーションを適用するため、プロセス全体を通じて安定したインターネット接続が必須です
特に初期セットアップ時には、OSの更新、ポリシーの受信、アプリケーションのダウンロードなどで比較的大きなデータ通信が発生します。

セットアップの進行状況を示す画面であるEnrollment Status Page(ESP)が表示されている間は、ネットワーク接続が途切れないように注意が必要です。
また、社内ネットワークから接続する場合は、プロキシやファイアウォールの設定がMicrosoftの各サービスへの通信を妨げていないか、事前に確認しておくことがトラブル回避につながります。

プリインストールされているアプリの事前確認を推奨

PCメーカーによっては、独自のユーティリティソフトや試用版のアプリケーションがプリインストールされている場合があります
これらのアプリが、Windows Autopilotで展開する業務アプリケーションと競合したり、意図しない動作を引き起こしたりする可能性があるため、導入前に確認することを推奨します。
不要なアプリケーションは、展開プロセスの中でアンインストールするスクリプトを用意するか、クリーンなOSイメージが搭載されたモデルを選択するなどの対策が考えられます。

問題が発生した際は、Intuneの管理ログやデバイスのイベントログを確認し、原因を特定する必要があります。

デバイス廃棄時には登録情報の削除を忘れずに行う

Windows Autopilotで管理しているデバイスをリース返却や廃棄する際には、関連する登録情報を各管理コンソールから確実に削除することが極めて重要です。
具体的には、Intune、EntraID、そしてAutopilotの登録デバイス一覧から、対象デバイスのオブジェクトを削除する必要があります。

この削除作業を怠ると、デバイスの登録情報がクラウド上に残り続け、万が一そのデバイスが第三者の手に渡った場合に、再度Autopilotのプロファイルが適用されてしまうなど、意図しない挙動やセキュリティ上のリスクにつながる可能性があります
デバイスのライフサイクル管理プロセスに、廃棄時の情報削除を明確に組み込むべきです。

Windows Autopilotの導入はNTTデータウェーブにお任せください

Windows Autopilotを活用することで、初期設定から展開、セキュリティポリシーの適用まで、PC運用を大幅に効率化できます。しかし、最適なプロファイル設定やIntuneとの連携設計には専門的な知識が必要です。

NTTデータウェーブでは、Windows AutopilotおよびIntuneの導入支援から運用設計、保守サポートまで一貫して対応しています。企業規模や業種に合わせた最適なセットアップを提案し、PCライフサイクル全体の最適化を実現します

Autopilotを活用した効率的なIT環境づくりをお考えの方は、ぜひNTTデータウェーブにご相談ください。

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このコラムを書いたライター
Wave PC Mate 運営事務局
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