端末管理とは?PCの管理システム導入のメリット

端末管理とは、企業が業務で利用するPCやスマートフォンなどのデバイスを安全かつ効率的に運用するための仕組みです。その中でもテレワークやクラウド活用が進む現代のビジネス環境では、多数のPCを一元管理する仕組みが欠かせない要素となっています。
この記事では、端末管理の基本導入するメリット、そして効果的に運用するポイントについてわかりやすく解説します。
お役立ち資料
管理工数を削減!IT資産管理ツールの選定ポイント
管理工数を削減!
IT資産管理ツールの選定ポイント
資料ダウンロード

そもそも端末管理とは?企業のIT資産を適切に把握する手法

端末管理とは、企業が所有し、従業員が業務で使用するパソコン、スマートフォン、タブレットといったIT資産の状況を正確に把握し、一元的に管理する活動全般を指します。 具体的には、どの部署の誰が、いつから利用しているかといった情報を台帳で管理し、OSのバージョンやインストールされているソフトウェアの状態などを常に最新に保ちます。

この管理を適切に行うことで、セキュリティの維持、コンプライアンスの遵守、ITコストの最適化を図ることが可能です。

端末管理が徹底されていない場合に起こりうる4つのリスク

企業の端末管理が適切に行われていない場合、さまざまな経営リスクに直結する可能性があります。
以下では、特に起こりうる主なリスクを解説します。

機密情報や個人情報の漏洩

端末管理が不十分な場合、デバイスの紛失や盗難が発生した際に、第三者によって内部データへ容易にアクセスされる危険性が高まります。悪意のある人物の手に渡れば、保存されている企業の機密情報や顧客の個人情報が抜き取られ、外部に漏洩する可能性があります。
このような事態は、企業の社会的信用の失墜や、多額の損害賠償請求といった深刻な経営問題に発展しかねません。

また、退職した従業員が端末を返却せず、情報を保持し続けるといった内部からの情報流出リスクも考慮する必要があります。

マルウェアやウイルスへの感染

管理が行き届いていない端末は、OSやソフトウェアのアップデートが適用されないことがあります。その結果セキュリティ上の脆弱性が放置された状態になりがちです。
攻撃者はこの脆弱性を狙って、マルウェアやウイルスを仕掛けます。 さらに、従業員が個人の判断で信頼性の低いフリーソフトをインストールしたり、フィッシングサイトへアクセスしたりすることも感染の引き金となります。

一台の端末が感染すると、社内ネットワークを通じて他のコンピュータやサーバーへも感染が拡大し、システム全体の停止やデータの破壊、ランサムウェアによる情報資産の身代金要求など、事業継続に深刻な影響を及ぼす事態に陥る危険があります。

従業員によるデバイスの不正利用

貸与端末の利用状況を把握できていないと、従業員による目的外利用やルール違反のリスクが高まります。
例えば、業務とは無関係なアプリケーションのインストール、セキュリティレベルの低いフリーWi-Fiへの接続、個人用クラウドストレージへの業務データの保存などが挙げられます。 これらの行為は、マルウェア感染や情報漏洩の直接的な原因となるだけでなく、企業のコンプライアンス違反とみなされる可能性もあります。

適切な管理体制がなければ、こうした不正利用を検知し、是正することは困難です。

管理外の端末増加によるコスト増大

IT管理部門が把握していない端末、いわゆる“シャドーITが増加すると企業全体のITコストが不必要に増大する原因となります。 各部署が独自にPCやソフトウェアを購入すると、会社として保有するライセンス数や契約回線を正確に把握できなくなります。

その結果、実際には使用されていないソフトウェアライセンスの料金を支払い続けたり、過剰なデータ通信プランを契約したままになったりするなど、無駄なコストが発生します。

端末管理を効果的に行うための5つのポイント

端末管理は、運用ルールや社内体制の整備に加え、管理ツールやシステムの活用によってセキュリティと効率性を両立できます。
ここでは、企業が実践すべき5つのポイントを紹介します。

1. 管理対象の端末を正確に把握する

まずは、どの端末が社内ネットワークに接続されているかを正確に把握することが出発点です。
把握漏れがあると、シャドーIT(管理外のデバイス)による情報漏洩や脆弱性放置の原因になります。
定期的な棚卸しや自動スキャンツールの活用で、常に最新の端末リストを維持しましょう。

2. セキュリティポリシーを明確にし、全社へ徹底する

端末の持ち出しルールやパスワードポリシー、ソフトウェア利用ルールなど、明文化されたセキュリティ方針策定し、周知することが重要です。
特にテレワークやBYODが普及する現在は、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を持つ仕組み作りが不可欠です。

3. OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つ

古いバージョンのOSや未更新のアプリは、サイバー攻撃の格好の標的になります。
自動アップデートの設定や、パッチ適用状況の可視化によって、脆弱性を放置しない体制構築できます。

4. アクセス権限を最小限に設定する

全社員が同じ管理権限を持つと、誤操作や不正利用のリスクが高まります。
業務内容に応じてアクセスレベルを分け、最小権限の原則(PoLPに基づいた運用を行うことが望ましいです。

5. 端末管理を行えるシステムを導入する

端末管理は、ルールや運用体制を整えるだけでは限界があります。システムを導入することで、管理対象端末の把握やポリシー適用、ログ分析などの管理作業を効率化でき、セキュリティ向上も実現可能です。

 次章からは、システム導入のメリットと端末管理で使われる代表的なシステムの種類について詳しく解説します。

端末管理システムを導入するメリット

企業における端末管理は、単なるデバイスの監視・制御にとどまらず、情報セキュリティやコンプライアンス遵守、業務効率化など、さまざまな面で重要な役割を果たします。
以下に、端末管理システムを導入する主なメリットを解説します。

1. 情報漏洩リスクの低減

端末管理システムを導入することで、デバイスの紛失や盗難時に遠隔でデータを消去するリモートワイプ機能や、画面をロックするリモートロック機能を活用できます。
これにより、機密情報が外部に漏洩するリスクを大幅に低減できます。

2. セキュリティポリシーの一元管理と強制適用

パスワードポリシーの強制や、Wi-FiやVPNの接続設定の配布、カメラやスクリーンショットといった機能の制限など、セキュリティポリシーを一元的に管理し、全端末に強制適用することが可能です。
これにより、セキュリティの統一性と遵守状況の可視化が実現します。

3. 業務データの安全な取り扱い

業務で利用するアプリケーションの配布や更新、利用制限を行うMAM(Mobile Application Management)機能や、セキュアなコンテナ内で業務用のファイルやデータを安全に共有・閲覧させるMCM(Mobile Content Management)機能を活用することで、BYOD環境においても業務データの安全な取り扱いが可能となります。

4. コンプライアンス遵守の支援

端末管理システムを導入することで、業務データの取り扱いや端末の利用状況をログとして記録・保存することができます。これにより、コンプライアンス遵守に必要な証跡を確保し、監査対応や内部統制を強化できます。

5. 管理業務の効率化とコスト削減

端末の設定変更やアプリケーションの配布、セキュリティポリシーの適用など、手作業で行っていた管理業務を自動化・効率化することができます。これにより、IT部門の負担軽減とともに、管理コストの削減が期待できます。

6. BYOD環境の安全な運用

私物端末を業務利用するBYOD(Bring Your Own Device)環境においても、端末管理システムを導入することで、個人のプライバシーを保護しつつ、業務データのみを安全に管理することができます。
これにより、柔軟な働き方を支援しつつ、セキュリティリスクを最小限に抑えることが可能です。

端末管理で利用される代表的なシステムの種類

端末管理を効率化するためのシステムには、目的や管理対象に応じて様々な種類のツールや製品が存在します。 下記では代表的な3つのシステムをご紹介します。

MDM(モバイルデバイス管理)

「Mobile Device Management」の略称で、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を遠隔から一元管理するためのシステムで、 主な機能は下記の5つです。

・端末の紛失・盗難時に遠隔でデータを消去する「リモートワイプ」
・端末の画面をロックする「リモートロック」
・パスワードポリシーの強制
・Wi-FiやVPNの接続設定の配布
・カメラやスクリーンショットなどの機能制限

MDMの導入により、従業員が社外でモバイル端末を利用する際のセキュリティを確保し、情報漏洩のリスクを大幅に低減させることができます。 多数のモバイル端末を効率的かつ安全に運用するための基本的な基盤となります。

EMM(エンタープライズモビリティ管理)

EMMは「Enterprise Mobility Management」の略称で、MDMの機能に加えて、アプリケーション管理(MAM)とコンテンツ管理(MCM)の機能を統合した、より包括的なモバイル管理の仕組みです。

・MDM(Mobile Device Management):デバイス自体を管理対象とする
・EMM(Enterprise Mobility Management):デバイス上で利用されるデータやアプリケーションまで管理範囲を拡張
・MAM(Mobile Application Management):業務アプリの配布・更新・利用制限を管理
・MCM(Mobile Content Management):セキュアなコンテナ内で業務用のファイルやデータを安全に共有・閲覧可能

これにより、私物端末を業務利用するBYOD環境においても、個人のプライバシーを保護しつつ、業務データのみを安全に管理することができます。

IT資産管理ツール

IT資産管理ツールは、PCやサーバー、ネットワーク機器、プリンターといったハードウェアから、インストールされているソフトウェア、ライセンスに至るまで、社内に存在するあらゆるIT資産を統合的に管理するためのツールです。 各PCのハードウェア構成やソフトウェアのインストール状況を自動的に収集し、資産台帳を作成します。
これにより、ソフトウェアライセンスの過不足を正確に把握し、不正コピーの防止やコスト削減につなげることが可能です。

また、OSやソフトウェアの脆弱性情報を収集し、セキュリティパッチの適用状況を管理する機能も備えています。 モバイル端末の管理機能を持つ製品もありますが、主眼はPCを中心とした社内全体のIT資産のライフサイクル管理に置かれています。

IT資産管理ツールを導入検討している方は、選定ポイントをまとめた資料をご確認ください。

また、Wave PC Mateでは、クラウド型のIT資産管理およびモバイルデバイス管理ツール「LANSCOPE cloud」をご用意しています。PC・スマートフォン・タブレットなどのデバイスを一元管理でき、セキュリティ対策や業務効率化を実現できます。
LANSCOPE cloudの詳細を知りたい方は、こちらからお問い合わせください。

 

お役立ち資料
管理工数を削減!IT資産管理ツールの選定ポイント
管理工数を削減!
IT資産管理ツールの選定ポイント
資料ダウンロード
このコラムを書いたライター
Wave PC Mate 運営事務局
Wave PC Mate 運営事務局
Wave PC Mateは、NTTデータ ウェーブが提供するハードウェアの調達から導入、運用管理、撤去・廃棄までのPCライフサイクルマネジメントのトータルアウトソーシングサービスです。本サイトでは、法人企業のPC運用管理業務の課題解決に役立つ様々な情報をお届けします。