テレワークのセキュリティ対策|
セキュアな業務環境の構築方法・ツールの選び方

テレワーク導入が進み、さらに昨今では従業員がオフィス以外の場所で業務を行う機会も増えています。
その結果、自宅や外出先での作業に伴う情報漏洩リスクも格段に高まっています。
安全な業務環境を維持するには、単にツールを導入するだけでなく、組織全体での多層的なセキュリティ対策が不可欠です。
本記事では、テレワークに潜む具体的な危険性を整理し、企業が実践すべき対策をわかりやすく解説します。
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テレワークの普及で高まる情報漏洩のリスクとは

テレワークの普及は、柔軟な働き方を実現する一方で、新たなセキュリティの課題を生んでいます。 オフィス内のように物理的にもネットワーク的にも保護された環境から離れることで、情報漏洩のリスクは格段に高まります
管理の行き届かない自宅のネットワーク利用や公共の場での作業は、マルウェア感染や不正アクセスといったサイバー攻撃の脅威に晒されやすくなります。
そのため、テレワークにおけるセキュリティリスクを正しく認識し、適切な対策を講じることが重要です。

テレワークで想定される7つのセキュリティインシデント

テレワーク環境では、業務用PCの盗難やマルウェア感染など、従来オフィスでは想定しにくかったセキュリティ事故も発生しやすくなります。
ここでは、特に注意すべき7つのインシデントとそのリスクを具体例とともに紹介します。

PCやスマホの紛失・盗難による情報流出

テレワークでは業務用端末を社外へ持ち出す機会が増えるため、PCやスマートフォンの紛失・盗難リスクが高まります。 電車内での置き忘れやカフェでの盗難、車上荒らしなど、様々な状況が想定されます。 端末が第三者の手に渡ると、保存されている顧客情報や機密データが直接抜き取られるだけでなく、端末に記憶されたIDやパスワードを利用して社内システムへ不正にアクセスされる二次被害につながる恐れもあります。
端末の物理的な管理を徹底するとともに、遠隔でデータを消去できる仕組みの導入も有効な対策となります。

ウイルス・マルウェア感染によるデータ破損や情報窃取

自宅のネットワーク環境は、企業の管理下にあるオフィスネットワークと比較してセキュリティレベルが低いことが多く、サイバー攻撃の標的となりやすい傾向があります。
業務に関係ないウェブサイトの閲覧や、偽装された添付ファイルを開くことで、ウイルスやマルウェアに感染する危険性が増大します。
一度感染すると、端末内のデータが破壊されたり、重要な情報が外部に送信されたりするだけでなく、社内ネットワーク全体に感染が拡大する可能性もあり、深刻なセキュリティ問題へと発展しかねません。

カフェやコワーキングスペースでの覗き見(ショルダーハック)

カフェやコワーキングスペースといった公共の場所で業務を行う際には、第三者による画面の覗き見、いわゆる「ショルダーハック」に注意が必要です。
背後や隣の席から意図せず画面を見られ、表示されていたIDやパスワード、顧客情報、社外秘の資料などの機密情報が漏洩するリスクがあります。 特に周囲に人が多い環境での作業は、情報管理の意識をより一層高めなければなりません。

物理的な対策として、覗き見防止フィルターをPC画面に装着することも有効な手段の一つです。

安全でないフリーWi-Fi利用時の通信傍受

カフェや駅などで提供されているフリーWi-Fiは利便性が高い一方で、セキュリティ上のリスクを伴います。 特に暗号化されていない、あるいはセキュリティ設定が脆弱なWi-Fiに接続すると、送受信している通信内容を第三者に傍受される危険性があります。 これにより、メールの内容やWebサイトの閲覧履歴、入力したIDやパスワードなどが盗聴され、不正アクセスや情報漏洩の原因となり得ます。

業務でインターネットに接続する際は、提供元が不明なフリーWi-Fiの利用は避け、VPNを利用するなど安全な通信経路を確保することが重要です。

脆弱なパスワード設定による不正アクセス

「password」のような単純な文字列や、個人情報から容易に推測できるパスワードを設定していると、不正アクセスのリスクが著しく高まります。 また、複数のサービスで同じパスワードを使い回している場合、一つのサービスから情報が漏洩すると、他のシステムにも不正にログインされる「パスワードリスト攻撃」の被害に遭う可能性が出てきます。

テレワークでは外部から社内システムにアクセスする機会が多いため、パスワード管理はより重要になります。 複雑で推測されにくい文字列を設定し、定期的に変更するといった基本的なセキュリティルールを組織全体で遵守することが求められます。

私物デバイス(BYOD)利用に伴うセキュリティリスク

従業員が所有するスマートフォンやPCを業務に利用するBYOD(BringYourOwnDevice)は、利便性向上やコスト削減のメリットがある一方、セキュリティリスクを増大させる要因にもなります。 私物デバイスは会社の管理下にないため、OSやソフトウェアが最新の状態に保たれていなかったり、ウイルス対策ソフトが導入されていなかったりするケースが少なくありません。
また、プライベートで利用するアプリケーション経由でのマルウェア感染や、業務用データと個人データの混在による情報漏洩の危険性も指摘されています。

クラウドサービスの不正利用による情報漏洩

テレワークの推進に伴い、情報共有や共同作業のために様々なクラウドサービスが利用されています。 これらのサービスは業務効率を向上させる一方で、設定ミスや管理不備が情報漏洩に直結するリスクをはらみます。

例えば、アクセス権限の設定が不適切で、本来閲覧権限のない従業員や外部の人間が機密情報にアクセスできてしまうケースが考えられます。 また、従業員が会社の許可なく個人的に契約したクラウドストレージを利用する「シャドーIT」も、情報統制の観点から大きな問題となります。

シャドーITについて詳しく知りたい方は下記ご確認ください。

 

企業が取り組むべき3つの側面のセキュリティ対策

テレワークのセキュリティを確保するためには、単一の対策に頼るのではなく、多角的なアプローチが必要です。 具体的には、「人的対策」、「物理的対策」、「技術的対策」の3つの側面から総合的に取り組むことが重要になります。

人的対策:従業員のセキュリティ意識を高める

どれほど高度なシステムを導入しても、それを利用する従業員のセキュリティ意識が低ければ、インシデントのリスクはなくなりません。
人的対策とは、従業員への教育やルールの周知徹底を通じて、ヒューマンエラーによる情報漏洩を防ぐ取り組みです。 定期的なセキュリティ研修を実施し、最新のサイバー攻撃の手口や社内ルールの注意点を共有することが重要になります。 不審なメールは開かない、公共の場では機密情報に関する会話をしないといった、従業員一人ひとりの行動レベルでの意識向上が、組織全体のセキュリティレベルを底上げします。

物理的対策:デバイスや書類を物理的に守る

物理的対策は、情報資産そのものを盗難や紛失、覗き見から守るための基本的な取り組みです。 テレワークを行う自宅では、業務用PCや重要書類を家族の目にも触れないよう、施錠可能なキャビネットなどで保管するルールを徹底します。 また、自宅のWi-Fiルーターのパスワードを初期設定から変更し、不正な接続を防ぐことも重要です。

外出先で作業する際は、PCから離れる際には必ず画面をロックし、移動中は端末をカバンの中にしっかりとしまうなど、常に情報資産が物理的に保護されている状態を維持することが求められます。

技術的対策:ITツールやシステムで防御する

技術的対策は、ITツールやシステムを活用して、外部からのサイバー攻撃や内部からの情報漏洩を防ぐアプローチです。
安全なネットワーク通信を確保するためのVPNや、ゼロトラストの概念に基づき全てのアクセスを検証するSASEといった仕組みの導入が有効です。 また、端末本体にデータを保存しないシンクライアントやVDIを利用すれば、万が一端末を紛失しても情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

ウイルス対策ソフトや多要素認証の導入は基本的ながらも不可欠です。ただ、製品の選び方に迷う方もいるかもしれません。詳しい選び方は最終章で紹介していますので、そちらをご参照ください。

紹介した対策はあくまで大枠であり、実際に安全なテレワーク環境を構築するには、さらに具体的な対応策を日々の業務に落とし込み、運用していく必要があります。
次章では、これらの対策を実践的に運用するためのテレワークの具体的なセキュリティ強化策を詳しく解説します。

テレワークの具体的なセキュリティ強化策

テレワークのセキュリティを強化するためには、理念やルールだけでは不十分です。
ここからは、すぐに取り組める具体的なセキュリティ強化策を、「人的対策」、「物理的対策」、「技術的対策」の3つの側面に分けて紹介します。自社の状況に合わせて実践することで、安全なテレワーク環境を一歩ずつ構築できます。

物理的対策:デバイスや作業環境を守る

サイバー攻撃への対策と同時に、PCや書類といった物理的な情報資産を守る意識も不可欠です。 特にテレワークでは、オフィスのような施錠管理や入退室管理が行き届かない環境で業務を行うため、従業員一人ひとりの注意が求められます。 端末の適切な保管方法から、公共の場での覗き見防止策まで、日々の業務における物理的なセキュリティ対策をルール化し、徹底することが重要です。 技術的な対策と物理的な対策は、セキュリティを担保する車の両輪と言えます。

PCにはスクリーンフィルターを装着し覗き見を防止する】
・カフェ・電車・共有オフィスなど人目のある環境でも情報漏洩を防止
・正面からは見えるが横からは見えにくくなる「プライバシーフィルター」を使用
・顧客情報・社内資料・パスワードなどの覗き見(ショルダーハック)対策に有効

書類やUSBメモリは施錠できる場所に保管する】
・自宅で扱う紙資料やUSBメモリなどの物理媒体は紛失・盗難リスクが高い
・離席時や業務終了時は施錠できる引き出し・キャビネットに保管
・不要書類はシュレッダー処理など廃棄ルールも徹底する

テレワーク環境のセキュリティ対策は、人的・物理的対策を組み合わせて実施することが重要です。しかし、「自社でどこまで対策できているのか不安」「何から着手すべきかわからない」という企業も多いのではないでしょうか。次章では、ツール導入などの技術的対策の選び方について解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。

▼すぐに取り組める実践的な対策を知りたい方はこちら

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人的対策:ルール策定と従業員教育で人的ミスを防ぐ

テレワークのセキュリティトラブルは、外部からの攻撃だけでなく、従業員の不注意などによる人的ミスが原因となるケースも少なくありません。これを防ぐには、情報の扱い方に関するルールを明確にし、全従業員が正しく理解・実践できる体制づくりが重要です。
以下に、セキュリティ体制を構築するうえで特に押さえるべきポイントを整理します。

【セキュリティポリシーを策定し全従業員に周知徹底する】
セキュリティポリシーは ゼロから作らず、公的機関のガイドラインを参考 にすると効率的
 出典:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」
・内容を理解・実践できるよう 丁寧な説明と運用ルールの明確化
・定期研修で最新のフィッシング詐欺手口や標的型攻撃を共有

 【定期的なセキュリティ研修でリテラシーを向上させる】
・サイバー攻撃は進化し続けるため 一度の研修では不十分
・従業員のセキュリティ意識を維持するため 定期的な研修が必須
・研修内容の例
・最新のフィッシング詐欺手口の紹介
・他社のインシデント事例の共有
・標的型攻撃メールの疑似訓練
・実践形式の教育 により理解と対応力を高める
・外部専門家やオンライン教材の活用 も有効

技術的対策:ITツールを活用

従業員の自宅ネットワークなど、企業の直接的な管理が及ばない環境での業務を安全に行うためには、ITツールの活用が欠かせません。 通信経路を暗号化するVPNや、端末を一元管理するMDM(モバイルデバイス管理)、そしてマルウェア感染を防ぐウイルス対策ソフトなどが代表的です。

これらのツールは単独で利用するだけでなく、複数を組み合わせることで「多層防御」の考え方に基づいた強固なセキュリティ体制を構築できます。 自社の業務内容や予算に応じて、最適なツールを選定・導入することが重要です。

 【VPNを導入して安全な通信経路を確保する】
・インターネット上に暗号化された通信経路(仮想専用線)を構築する技術
・公衆Wi-Fiなど安全性の低い環境からのアクセスも保護できる
・テレワーク時の基本的な情報セキュリティ対策として必須
・導入時は「同時接続数」「通信速度」などを考慮して製品選定が必要

ウイルス対策ソフトを全端末にインストールする】
・マルウェア・ランサムウェアなどのサイバー攻撃対策として必須
・すべてのPC・スマホ・タブレットに導入することが重要
・定義ファイル更新の自動化と定期スキャンの徹底が必要
・法人向けの一元管理機能付き製品なら運用負担を軽減できる

多要素認証(MFA)で不正ログインを防止する】
・ID・パスワードに加え、スマホ認証や生体認証を組み合わせる仕組み
・パスワード漏えい時のリスクを大幅に軽減
・重要システムやクラウドサービスのアクセス保護に効果的

データを暗号化して漏洩リスクを最小化する】
・端末紛失・盗難時でもデータを読み取れないよう暗号化
・Windows BitLockerなどOS標準機能や暗号化ソフトを活用
・情報漏洩時の被害を最小限に抑える有効な対策

自社に最適なセキュリティツールを選ぶ3つのポイント

テレワークのセキュリティ対策として多種多様なツールが提供されていますが、自社の規模や業務内容、予算に合わないものを導入しても十分な効果は得られません。 ここでは、数ある選択肢の中から自社にとって最適なセキュリティツールを選定するための3つの重要なポイントを解説します。

未知のウイルスにも対応できるか

セキュリティ対策で最も重要なのは、未知のウイルスやマルウェアに対応できるツールかどうかです。従来の定義ファイルだけに頼る方式では、新しい攻撃に対応しきれないこともあります。

未知の脅威にも素早く対応できるツールとして、次世代ウイルス対策ソフト「Deep Instinct」が挙げられます。AIによるディープラーニングを活用し、未知のマルウェアを実行前に予測・防御できる点が特徴です。

導入時やトラブル発生時のサポート体制は万全か

セキュリティツールの導入や運用には専門知識が求められる場面が多いため、提供元のベンダーによるサポート体制の充実度は重要な選定基準です。
導入時の初期設定や操作方法について迅速に支援してくれるか、万が一インシデントが発生した場合に24時間365日体制で技術サポートを受けられるかを確認することで、現場の負担を軽減し、事業継続性を確保できます。
また、従業員にとって直感的で操作しやすいツールであることも、現場での定着とセキュリティ対策の浸透には欠かせません。

自社に最適な機能や予算範囲内であるか

セキュリティツールは、会社の規模や業務内容に応じて必要な機能が異なります。
従業員数や拠点数が多い場合は一元的な端末管理機能が必要であり、個人情報や設計データなど機密性の高い情報を扱う業種では、暗号化やアクセスログ管理など高度な機能が求められます
また、予算内で導入できるかも重要で、初期費用だけでなく年間の保守費用やアップデート費用を含めた総額でコストを評価し、投資によるリスク低減効果と比較して費用対効果を検証することが必要です。複数製品を比較し、自社に最適な機能を備え、予算内で最大の効果を発揮できるツールを選ぶことが賢明です。

セキュリティ対策で、テレワークも安全に

テレワークにおけるセキュリティ対策は、単一の解決策で完結するものではなく、組織的な取り組みが求められます。本記事で紹介した「物理的」「人的」「技術的」の3つの側面から、自社の状況に合わせて対策を重ね、多層的な防御体制を構築することが重要です。

しかし、実際には「端末管理が属人化している」「持ち出しリスクの備えが不十分」「運用ルールは作ったが徹底できていない」など、自社だけでは解決が難しい課題を抱える企業も多くあります。
特にテレワークでは、PCや周辺機器など“モノ”の管理が不十分なことが最大の盲点になりがちです。

Wave PC Mateでは、この“モノ管理”に着目した実践的な情報セキュリティ対策を支援しています。
自社だけでの運用に不安がある場合は、まずは基本の考え方を整理できる資料をご活用ください。

▶ 情報セキュリティガイド

また、前章で紹介した未知の脅威にも対応できるセキュリティソフト「Deep Instinct」の詳細を知りたい方は是非一度お問い合わせください。

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このコラムを書いたライター
Wave PC Mate 運営事務局
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