ランサムウェアの感染経路とは?一覧と攻撃動向、対策や予防まで解説

昨今のランサムウェアの感染経路はリモートワークの普及を背景に、VPN機器からの侵入やリモートデスクトップからの侵入などが主流です。サイバー攻撃が複雑化・高度化し、被害が年々増加する中、ランサムウェア対策の重要性はますます高まっています。この記事ではランサムウェアの主な感染経路を紹介し、ランサムウェアの攻撃動向の変遷からランサムウェア感染への主な対策や予防まで解説します。

ランサムウェアとは

ランサムウェア(Ransomware)とは、感染したコンピューターのデータを暗号化し、解読するための身代金(Ransom)として対価を要求する、悪意あるソフトウェア(Software)の一種です。

攻撃者は感染経路を通じてターゲットのシステムにランサムウェアをインストールし、データを人質に金銭を要求します。主に仮想通貨や暗号資産での支払いが求められ、支払いが完了するまでデータへのアクセスが制限されます。

年々、手法は巧妙化しており、近年はデータを窃取して脅迫する暴露型や、ダブル・エクストーション(二重恐喝)も見られ、さらには、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃をするトリプル・エクストーション(三重の脅迫)も出現しています。他にも暗号化せずにファイルを盗み出し、その引き換えに対価を要求する手法「ノーウェアランサム」による被害も報告されています。

適切な感染予防には、最新の感染経路と手口を知り、効果的な対策を打つことが必須です。

ランサムウェアの主な感染経路

サイバー攻撃が巧妙化・高度化するに従って、ランサムウェア攻撃の手法も複雑化しています。まずは感染経路を特定し、適切な対策を採ることがセキュリティ強化の鍵となります。ここでは代表的な7つの感染経路を解説します。

VPN機器を狙った攻撃による感染

企業のリモートワーク環境の整備が進む昨今、VPN装置を介した攻撃は急増しています。攻撃者はVPN機器の脆弱性を悪用し、企業ネットワークに不正アクセスを試みます。

対策としては、VPNソフトウェアの定期的な更新と最新のセキュリティパッチの適用が不可欠です。また、VPNアクセスログを定期的に監視し、異常なアクセスがないかの確認も必要です。

リモートデスクトップ経由の感染

リモートデスクトップ(RDP)も、ランサムウェアの感染経路として昨今よく利用されます。リモートワークの普及に伴ってRDPの使用が増加したため、その脆弱性を狙う攻撃が多発しています。攻撃者は脆弱なパスワードやパッチが当てられていないシステムを狙い、RDPを通じてシステムに侵入します。

攻撃を防ぐためには、RDPポートを標準から変更する、強力なパスワードを設定する、多要素認証を導入するなどの対策が効果的です。

メール添付ファイルやリンクを介した感染

ランサムウェアの感染経路の中でかつて主流だったのが、メールの添付ファイルやリンクを通じた攻撃手法です。攻撃者は巧妙なフィッシングメールを送り、受信者に悪意のあるファイルを開かせるか、リンクをクリックさせることで感染を試みます。

対策としては、社員への定期的なセキュリティ教育が大切です。メールフィルタリングとスキャン機能を強化し、疑わしいメールが届かないようにする対策も効果的です。

Webサイトの閲覧による感染

ブラウジング中に悪意のあるコードが埋め込まれたWebサイトを閲覧してしまうことで、ランサムウェアに感染するケースも増えています。気付かれないようにランサムウェアをダウンロードし、インストールさせる手法で「ドライブバイダウンロード」とも呼ばれます。

意図せず危険なWebサイトを訪れることを防ぐためには、Webフィルタリングソフトの導入や、社員に対する安全なブラウジング習慣の教育が求められます。

ファイルのダウンロードによる感染

信頼できないWebサイト訪問などで、不正なソフトウェアなど危険なファイルのダウンロードも、ランサムウェアの感染経路となり得ます。

ソフトウェアは公式サイトからのみダウンロードし、不明なソースからのファイルを避けるよう社員に周知徹底させることが必要です。また、ファイルのダウンロード時にはアンチウイルスソフトを使用してスキャンする方法も有効です。

USBや外付けHDDの接続からの感染

USBデバイスや外付けHDDなどを介したランサムウェア感染も見逃せません。不正なUSBデバイスをPCに接続すると、感染が広がるリスクがあります。

被害を防ぐためには、デバイスの使用を制限するポリシーを社内に導入することが重要です。また接続されるデバイスを常にスキャンし、未知のデバイスにはアクセスを許可しない設定を行うことも有用でしょう。

不審なアプリケーションの実行による感染

不正アプリケーションの実行によるランサムウェア感染のリスクもあります。特に無料で提供されているアプリやクラッキングツールなど、信頼性に欠けるソフトウェアをインストールすると、システムが感染する可能性が発生します。

感染を避けるためには、信頼できるソースからのみソフトウェアをダウンロードし、発行元が不明なアプリをインストールしないなどのポリシー徹底も効果的です。

ランサムウェアの攻撃動向の変遷

ランサムウェアの攻撃手法は年々進化しており、動向を調査すると、企業が採るべき対応策も変わってきます。従来のシンプルな感染手法から、高度な技術を駆使した攻撃に変化しているほか、攻撃のターゲットも多様化し、個人から組織、公共機関にも影響が広がっています。最新の調査を踏まえ、ランサムウェアの攻撃手法の変遷を理解し、適切な予防策を講じることが不可欠です。

従来の攻撃手法の特徴

従来のランサムウェアの感染経路は主にメールやWebサイトを通じたものでした。巧妙に作られたフィッシングメールを使い、受信者に悪意のある添付ファイルを開かせる手法が知られています。また、USBデバイスなど外部記憶装置を通じた感染被害も頻出していました。

これらの手法は比較的簡単に実行でき、多数のターゲットに同時攻撃を仕掛けることが可能という特徴もあります。

最新の攻撃手法の特徴と対策

近年のランサムウェア攻撃は、より高度かつ多層的な手法を採択するようになっています。例えば、サプライチェーン攻撃やゼロデイ攻撃を利用して、ターゲット企業の脆弱性を突く手法が増加しています。精度を高めるために、人工知能(AI)や機械学習を活用した攻撃も報告されています。

対策としては、徹底した脆弱性管理とセキュリティパッチの適用が有効です。また、多要素認証の導入や、セキュリティ意識を高めるための社員教育も欠かせません。最新の攻撃手法に対する認識を広め、継続的なセキュリティ強化を図ることが求められます。

ランサムウェア感染のリスクは?感染した場合の対応

ランサムウェアに感染するリスクは多岐にわたります。まずランサムウェアに感染すると、データが暗号化され、対価を支払わない限りアクセスできなくなるリスクがあります。また、業務停止による経済的な損失や、信用の失墜で企業の評判に対するダメージなどの被害を受ける可能性が発生します。重要情報が外部流出すれば、顧客情報の漏洩による訴訟や知的財産の喪失など二次的な被害も生じるでしょう。

不幸にもランサムウェアに感染した場合は、迅速かつ的確な対応が求められます。まず感染が疑われるデバイスはネットワークから隔離し、感染の拡大を防ぎます。同時にセキュリティ専門家に相談し、ランサムウェアの種類を特定し、可能な限りの対策を講じます。攻撃者には身代金を支払うべきではありません。保証はなく、攻撃者を助長する結果にもなりかねないからです。

事後対応として、感染原因を徹底的に調査し、再発防止対策を講じることも必須です。セキュリティパッチの適用やネットワークセグメントの見直し、社員教育の徹底なども含まれます。適切な対応を迅速に行えば、ランサムウェア感染による被害を最小限に抑え、再感染の防止につなげられるでしょう。

ランサムウェア感染への主な対策

ランサムウェアの被害を未然に防ぐには対策が不可欠です。脆弱性の管理や多要素認証の導入、社員教育の徹底、OSやソフトウェアの更新、そしてセキュリティ対策ソフトやシステムの導入などが挙げられます。有効な対策を一貫して実施すれば、ランサムウェアに対して総合的な防御力を強化し、現在および未来の脅威に対抗できるでしょう。

脆弱性情報の適切な管理と修正

ランサムウェア感染を防ぐための基本的な対策の一つが、脆弱性情報の適切な管理と修正です。システムやアプリケーションの脆弱性は、攻撃者にとって格好の標的となります。最新のセキュリティパッチを適用し、脆弱性を早期に修正すれば、攻撃の起点を減少できます。脆弱性情報を適宜収集し、リスク評価を行った上で対策を進めることが大切です。

多要素認証とアクセス制限の実装

強力な認証方式の導入も、ランサムウェア対策に有効です。特に多要素認証(MFA)は、パスワード以外の要素を追加することで、なりすまし攻撃が防止可能です。導入すればアカウントの安全性が格段に向上します。

不要なアクセス権限は削除し、重要なデータやシステムへはアクセス制限することも大事な対策です。アクセスログの監視は定期的に行い、不審なアクセスがないかの確認作業が必須です。

社内の予防策の徹底と共有

ランサムウェア対策には、情報セキュリティに対する社内の意識向上が欠かせません。フィッシングメールの識別方法などの予防策や最新情報の周知徹底が大事です。

定期的にセキュリティトレーニングやシミュレーションを実施し、攻撃に備えることも有効です。インシデント発生時の報告手順や対応策を明確にし、共有するのも効果的な対策です。

OS・ソフトウェアの最新状態を保つ

OSやソフトウェアの更新を怠れば、ランサムウェア感染のリスクを大幅に高めてしまいます。最新のセキュリティアップデートをすぐに実施・適用することが基本的な対策方法です。

特にゼロデイ攻撃を防ぐには、迅速な対応が必須です。ソフトウェアの開発者から提供される更新情報を常にチェックし、重要なパッチがリリースされた際には速やかな適用が強固なセキュリティ体制を維持するための鍵となります。

セキュリティ対策ソフトやシステムの導入

ランサムウェア対策の一環として、信頼性の高いセキュリティ対策ソフトやシステムを導入すれば、リアルタイムでの脅威検出やマルウェアのブロックが可能となります。

最新のウイルス定義ファイルを常に更新し、スキャンの定期的な実施も必須です。エンドポイント保護ソフトウェアや侵入検知システムの導入も検討し、総合的なセキュリティ対策の強化を進めると良いでしょう。

ランサムウェア対策を徹底し、セキュリティリスクに備えよう

サイバー攻撃が巧妙化・高度化する中、感染経路も多様化が進んでいます。すべてのランサムウェア対策を自社のみで実行しようとすると、多くの時間や手間がかかってしまいます。セキュリティ対策環境の構築をアウトソーシングすることも検討しましょう。

Wave PC Mateはランサムウェアなど最新の脅威への対策はもちろん、セキュリティ対策のPDCAサイクルを徹底しています。Windows Updateおよびウイルス対策ソフトの定義ファイルの適用状況を常に確認し、未適用PCには強制配布を実施。全社的に高いセキュリティレベルの維持が可能になります。

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このコラムを書いたライター
Wave PC Mate 運営事務局
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