Wave PC Mate」導入までの経緯や、PC調達、セットアップ、運用までのPCライフサイクル管理をアウトソーシング化した理由、また導入の効果などについて、株式会社ルネサンス IT推進部 部長の篠田卓氏に詳しく伺いました。
株式会社ルネサンスについて
株式会社ルネサンス(以下ルネサンス)について教えてください。
「生きがい創造企業としてお客様に健康で快適なライフスタイルを提案する」という企業理念のもと、1979年にテニススクールから創業し、スポーツクラブや介護リハビリ施設など計190か所(2022年3月末)の施設を運営しています。
また、企業や健康保険組合の健康づくり支援や全国の自治体の介護予防事業の受託、オンライン事業、海外市場へ向けた取り組みなど、長期ビジョンである「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」を目指し、健康分野におけるサービスを多岐にわたって展開しています。
[会社概要]
従業員数: 1,454名、売上高: 371億、施設数:190施設、会員数:約33万人(2022年3月時点)
NTTデータ ウェーブから何を導入したか
ルネサンスでは、NTTデータ ウェーブから何を導入したのですか。
NTTデータ ウェーブのPC運用管理のアウトソーシングサービス「Wave PC Mate」を導入しました。
ルネサンスのITインフラは、事務作業全般を担う情報系と、会員データの処理等のスポーツクラブ運営を担う基幹系に分かれています。
「Wave PC Mate」は情報系で使われている全てのPCを対象として導入しました。
従業員(社員、アルバイト、インストラクター等)が全国各地のクラブで使用しています。PC台数は、導入初期は約1,000台です。 ※(2022年3月現在)約2,100台を導入しています。
自社スタッフだけで行うシステム運用の限界
「Wave PC Mate」導入前の、運用について教えてください。
これまでルネサンスでは、4~5名のIT担当スタッフで情報系と基幹系の全てのシステムを運用していました。
しかし、2003年頃から事業規模の拡大に伴って、PCの見積取得から発注、納品、設置業者の管理といった作業や、日々のトラブル対応などの運用が、自社要員だけでの体制では、困難になってきました。
また、現場からの問い合わせやPCの障害対応などで大幅に時間をとられることによって、内部統制のことを考えた、より高いレベルの資産管理やセキュリティ管理を徹底するためのシステムや、最も重要なスポーツクラブの運営効率を高めるためのシステムについて、企画検討する時間をなかなか確保できずにいました。
実は、この問題については2004年に一度手を打っています。 自社構築でのIT運用管理ツールの導入や、ヘルプデスクのアウトソーシングを行いました。 しかし問題は解決しませんでした。
「何でもできる」はずだった、IT運用管理ツール
「問題は解決しなかった」とは。詳しく教えてください。
当時導入したのは、大手メーカーのIT運用管理ツールでした。
資産管理やセキュリティ管理、ソフトウェアのバージョンアップなど何でも簡単に効率化できることを期待していました。
導入してわかったことは、「ツールを導入しても、管理・運用を行う人材に時間が十分にないと、何も変わらない」ということでした。
確かに運用管理ツールにより、見たい情報は一元化できますが、一元化すること自体が目的ではありません。
PC運用管理を実現するためには、やはり人手が要るということに変わりはありませんでした。
また同じ時期に、現場からの問い合わせなどのヘルプデスク機能だけを切り出したアウトソーシングを試みました。
結果、社内のITスタッフの負担は減りましたが、完全ではありませんでした。
ヘルプデスクは基本的にPC操作や障害に対する電話対応だけだったため、難しい内容や電話でトラブル内容をうまく説明できないと、現場からすぐにこちらに電話がかかってきました。
また、上述のIT運用管理ツールをヘルプデスクで使ってほしいと頼みましたが、それは標準対応ではないと断られました。
結局、IT運用管理ツールもヘルプデスクも、完全な状態として使いこなすところまでには、至りませんでした。
その後、2006年頃から、運用管理を統制できるような別の手段を探し始めました。
リース会計基準の見直しを機に、システムやPCを“所有”ではなく“利用”する環境へ
PCの調達や運用管理までアウトソーシングする方針に決められた理由は。
検討を始めていた頃に、新リース会計基準の影響が新たな問題として挙がりました。
これまで情報系のPCは全てリースで導入していました。ルネサンスの規模だとリース料も資産計上する必要があり、財務会計への影響が懸念されていました。
この機会にPC導入をリースからレンタルに切り替えて、オフバランス化した方が財務的なデメリットを減らせると判断しました。また前述のとおり、PC調達に関する事務処理や設置業者の管理などの業務負荷を軽減したいとも考えていました。
加えて、今後予測されるIT投資を考慮しました。事業の拡大に伴い、サーバ関連の設備投資費用の増加が予測されていました。
調達から運用までアウトソーシングすることで、トータルコストの削減ができるとしたら積極的に採用するつもりでした。
各種サポートのサービスレベルはもちろんですが、「調達・運用での手間や事務作業の軽減」、事業発展に伴った「PC管理に関するシステム投資費用の削減」、さらに「オフバランス」、これらをキーワードにアウトソーシングを検討していく方針が定まりました。
その後、候補企業をリストアップして選定を行っていきました。
候補企業5社の中から「Wave PC Mate」を選んだ理由
候補にはどのような企業が挙げられたのですか。
まず、これまでの経験で単体のツール活用や範囲が狭いアウトソーシングでは運用の負荷は変わらないと考え、当時のヘルプデスクをお願いしていた企業の他、幅広く事業を行っているシステムインテグレータなど5社をリストアップしました。
そのうちPC運用管理を専門で行っている会社は、NTTデータ ウェーブを含めて2社でした。検討を始めてすぐに、5社からこの2社に絞られました。
5社の中から、PC運用管理を専門で行う2社に絞った理由を教えてください。
PC運用管理を事業として行っている会社は、自前のノウハウや体制、施設を持っています。
一方で、そうではないシステムインテグレータでも「いざとなれば何でもできる」のですが、そのための体制作りから始めないといけません。
遠隔で運用するための設備やスタッフの育成、こうしたものが全てサービス単価の高さにも反映されていました。
そのような企業を選ぶのは、得策ではないと考えました。
![]() | ”「お客様に全てを構築」は一見魅力的ですが、土台となるサービスがしっかり定義されていないと、リスクやコストが高くなると思います。” |
残る2つの候補からNTTデータ ウェーブの「Wave PC Mate」を選んだ理由は。
残る2社については、PCの調達やセットアップ、ハードとソフト両面のサポートレベル、撤去作業などさまざまな比較項目で検討しました。
どちらの会社も、専門で行っているだけあって甲乙つけがたいサービス内容でした。
「Wave PC Mate」を選んだ理由の1つに、サポートセンターを見学したときの出来事があります。
正直に言いますが、NTTデータ ウェーブと比べると、もう一方の会社の規模は大きく、大勢のオペレータが整然と配置されたヘルプデスクを見て感心しました。
これならルネサンスの要望をカバーしてくれるかなと期待をしましたが、実際は少し違いました。
いくつかの要望を伝えてみると、「それはできる」「それはできない」といった紋切り型の返事が返ってきて、「ここまでのヘルプデスク対応は可能です」のような、一線を引いている印象を受けました。
一方、NTTデータ ウェーブのサポートセンター。セキュリティや設備関連、体制も十分でしたが、もっとも印象的だったのが、そこで運用を担っている担当者や技術者との会話でした。
「こういうことはできますか」というこちらからの要望に対し、「この処理を介して、こう運用すればできると思います、それでも要望はクリアできますか」というような返答があり、どんどん会話が進んでいきました。
ヘルプデスクだけではなく、テクニカルサポートも充実していて、このような人たちがバックボーンにいるなら、実際の利用者の視点でサポートをしてくれそうだと、同行したスタッフと話しながら帰ったことを今でも覚えています。
価格面での比較検討はいかがでしたか。
価格面でも、NTTデータ ウェーブの「Wave PC Mate」が適切だと判断しました。
「Wave PC Mate」に移行すれば、現状のIT運用管理ツールやウィルス対策ソフトのライセンスやサーバ機、データセンターなどでかかっていた費用も必要なくなります。
また検証用のPCや環境もNTTデータ ウェーブが用意してくれて、費用が発生しません。
シミュレーションをしたところ、今後予測される投資を織り込んで、「Wave PC Mate」を導入した場合としない場合のTCOで、「Wave PC Mate」の導入によって約1.8億円のコスト削減効果が期待できるという試算が出ました。
PC調達や運用の管理作業負荷の軽減、ヘルプデスクなどのサポートサービスレベル、価格、オフバランス化などを総合的に判断し、2007年夏に「Wave PC Mate」の導入を決定しました。
その後、導入計画を策定した上で2008年1月より利用をスタートさせました。
PCを入れ替える時の気づかいに感心
「Wave PC Mate」はどのようなプロセスで導入されていったのですか。
既存の約1,000台のPCを、順次「Wave PC Mate」に入れ替えていきました。
デスクトップPC、ノートPC、モバイルPCを合わせて、毎月30~50台のペースでした。
既存のリースPCと「Wave PC Mate」で提供するPCを並行稼動させると、逆に手間は増えませんでしたか。
確かに、一度に全て入れ替えた方が、費用対効果も高いと思います。
しかし、既存のPCはリースの契約期間が月ごとでバラバラでしたので、リース切れのタイミングで切り替えるほうが負担が少ないと考えました。
加えて、一気に「Wave PC Mate」に替えてしまうことにリスクも感じていました。
NTTデータ ウェーブとは初めての取引でしたし、どこまでやってくれるのか未知数なところもありました。
順次入れ替えていくことで、トライアル的な意味合いを持たせられます。
実際の導入作業と並行稼動における、NTTデータ ウェーブの対応はいかがでしたか。
NTTデータ ウェーブは、「Wave PC Mate」のサービスの中から運用管理とヘルプデスク、テクニカルサポートを切り出し、既存のリースPCにも適用してくれました。
それに伴って、既存PCに入っている運用管理ソフトやウィルス対策ソフトなどのソフトウェアを「Wave PC Mate」と同じものに替えるという作業が発生しました。
このような切り替え手順を組むのは大変だろうなと思っていました。
スポーツクラブで働くスタッフのITリテラシーは、全員が高いわけではありません。
管理者権限でアンインストールを実行し、そのまま別のソフトをインストール、その後ユーザ権限に戻る…といった作業は、大半が出来ませんし、時間を割くこともできません。
NTTデータ ウェーブは、そのような作業を全てワンストップで対応できるような、インストールパッケージや自動化ツールを作ってくれました。
それを使えば、画面表示にしたがって単純な操作でアンインストールからインストールまで完了できます。
それぞれの対象者にCD-ROMの郵送もしてくれました。
感心したのは、ただCD-ROMを送り届けるだけではなく、新しいヘルプデスクの案内や詳しい操作マニュアル、連絡先を記したシールなども作って同封してくれたことです。
PC利用者目線で細かな点にまで気づかって対応してくれました。その後「やっぱりよくわからない、できない」といった現場からの問い合わせがIT推進部に来ていないという事実が、NTTデータ ウェーブの対応の良さを証明していると思います。
また、今まではPCの導入時に、現場へ作業員を手配して有償で設定作業を実施していましたが、「Wave PC Mate」では、自動で環境設定を実行するツールも提供されます。
それにより、スポーツクラブのスタッフでも簡単に設定作業ができます。
トライアルで実施した拠点のマネージャーからは、「こんなに簡単で短時間に、自分で設定ができてコストがかからないなら、このサービスをこのまま使っていきたい」との喜びの意見をもらいました。
丁寧なサポートは、現在でも続いています。
たとえば、WindowsOSのセキュリティパッチを適用する際には、NTTデータ ウェーブのサポートセンターにある、ルネサンスと同じ構成のPC環境で検証を実施し、結果を報告してくれます。
その後ルネサンス側で承認すると、配布から適用結果までを随時報告してくれます。
PCの不具合などで配布がうまくいかない場合には、現地への電話による個別フォローまでしてくれます。
このような流れを適時実施してくれますので、安心して任せられます。
ヘルプデスクの利用率が向上
導入から1年半が経ち、導入効果をどのようにとらえていますか。
想定していたよりもルネサンス自体の規模が拡大しているため、当初の予測よりも費用対効果は確実に出ていると評価しています。
完全にPCが切り替わり、利用年数が増すほど効果は高くなると思います。
社内のITスタッフの負荷はずいぶん減りました。
特にインパクトがあったのは、ヘルプデスクの利用率が向上したことです。
前アウトソーシングしていたヘルプデスクは電話対応だけでしたが、「Wave PC Mate」はリモート接続で対応してくれます。
口頭でうまく説明できないスタッフでも、ヘルプデスクのオペレータは状況を把握できます。
この違いは大きいと思いました。
NTTデータ ウェーブは、よく来る問い合わせや頻繁に発生する課題について情報蓄積や傾向分析もしてくれています。
月次でいただいている報告書は、定量的にも定性的にも十分な情報量だと思います。
運用方法やルールについて提言をいただくこともあり、助かります。
![]() | ”従来までのヘルプデスク以上にやってほしいという要望に、NTTデータウェーブは確実に応えてくれました。” |
どのような会社に「Wave PC Mate」は向いているか
どのような会社に「Wave PC Mate」は向いていると思いますか。
ルネサンスのように全国各地に事業所がある会社で、かつITに詳しいスタッフを全国に配置できない会社には、特に向いていると思います。
また、「Wave PC Mate」は細かいところまでサービス項目が明確になっています。
ですから、あれもこれもとアウトソーシングの要件に盛り込んで気がついたら高額になったり、後になって「言った言わない」で揉めたりするような事は起こりにくいでしょう。
要件が定まっていない会社でも、一度相談してみると課題や自社の要件が整理できると思います。
NTTデータ ウェーブへのメッセージ
最後に、NTTデータ ウェーブへのメッセージをお願いします。
アウトソーシングは設備や仕組みでなく、サービスです。私たちの要望をどのように対応できるかを考えてくれるかが大きいと思います。
ですから、サービスを提供する人や組織的な要素や、スキームを作ってくれる柔軟性などを重要視して、「Wave PC Mate」を選びました。
これまでのNTTデータ ウェーブの対応は、期待していた通りでした。
安心して、ルネサンスの情報系インフラをお任せしています。
今後も引き続き、よろしくお願いします。
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- お忙しい中、ありがとうございました。
- ※ 株式会社ルネサンスのウェブサイト(外部サイトへ移動します)
- ※ 取材日時 2009年9月

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